オートマ(AT)とマニュアル(MT)の違いとは?操作や性能、免許を取る時の判断基準を解説

自動車には、オートマ(AT)車と、マニュアル(MT)車の2種類があります。
現在、日本では98%の車がオートマ車と言われています。燃費性能が向上したことや、運転の簡単さから、マニュアル車は年々、減少傾向にあります。そもそも、マニュアル車がなく、オートマ車しか販売されていない車種もあります。今回、オートマ車とマニュアル車の違いと、免許を取るならどちらが良いかを解説していきます。
オートマ(AT)とマニュアル(MT)の違いは?
そもそも、オートマ(AT)とマニュアル(MT)とはどういう意味でしょうか?
これは、エンジンの動力を伝達する「変速機(トランスミッション)」に、マニュアルとオートマの2つの種類があることに由来しています。オートマチックトランスミッション(AT)は、速度に合わせてギアの変速を自動で行うことができます。一方で、マニュアルトランスミッション(MT)は、ドライバー自ら手動で変速を行います。ここでは、それぞれの特性の違いについて説明します。
運転操作:オートマ(AT)の方が操作が簡単
マニュアル車とオートマ車の違いを挙げるとすれば、クラッチとギアチェンジです。マニュアル車は、運転者がギア(減速比)を選択しますが、ギアチェンジを行う際にペダル状のクラッチを切って行います。左足でクラッチの操作、右足ではブレーキとアクセルを同時に操作。加えて、左手でチェンジレバー、右手はハンドルを操作します。このように、マニュアル車では、全ての手足を使って運転する必要があります。複雑な操作が必要で、ギアの選択を間違えるとエンストを起こすなど、慣れるまでに時間がかかりますが、運転操作を楽しむことができるため、車で走ることが好きな方に選ばれています。
一方、オートマ車は車のスピードやエンジンの回転速度に応じて、自動的にギア(減速比)が切り替わります。そのため、クラッチペダルとチェンジレバーがなく、アクセルとブレーキ、ハンドルを使って運転します。オートマ車は、マニュアル車に比べると運転操作が簡単で、初心者でも運転がしやすいと言われています。
燃費:マニュアル(MT)の方が燃費性能が良い
マニュアル車の一番のメリットは燃費性能が良いことです。無駄なエネルギーを使わず、車体も軽いのでガソリンを節約できます。とはいえ、最近はオートマ車も燃費が良い車が開発されており、そこまで大きな燃費差はないといえます。
車種:オートマ(AT)の方が車種が多い
どこの車メーカーもオートマの車種が多いので、オートマ車なら、たくさんの選択肢の中から好みの一台を選ぶことができます。その一方で、運転の楽しさをより感じられるのはマニュアル車です。操作が多い分、自分で車を操っている感覚を楽しめます。スポーツカーやクラシックカーなど嗜好性の高い車に乗りたい人は、マニュアル車を運転できるようにしておくと、より運転を楽しめるでしょう。また、軽トラをはじめとした業務用の車は、乗用車と比べてマニュアル車の割合が高いです。仕事の関係でトラック等の業務用車を運転する可能性がある人は、マニュアル免許の取得をおすすめします。
マニュアル(MT)車免許があればオートマ(AT)車も運転できる
運転免許を取る時に、マニュアル免許にしますか?オートマ免許にしますか?と聞かれます。マニュアル免許は「普通自動車免許」で、オートマ免許は「普通自動車免許(AT限定)」です。マニュアル免許を持っていれば、マニュアル車・オートマ車両方を運転することができます。
現在、日本の車はほとんどがオートマ車なので、ここ数年ではオートマ限定免許を取得する人が増えています。令和5年度の運転免許試験合格者数を見ると、マニュアル免許は約32%、オートマ限定免許は約68%でした。新しく免許を取得する人のうち、7割近くの人がオートマ限定免許を取得しています。
普通自動車以外にもオートマ(AT)とマニュアル(MT)がある
一般的な普通自動車以外の車種にも、オートマとマニュアルの区別があります。二輪免許には下記の種類がありますが、これらの免許を取得する際にもオートマかマニュアルか選ぶことができます。
- 小型限定普通二輪免許(原付二種):排気量125cc未満のバイク
- 普通二輪免許(中型バイク):排気量400cc未満のバイク
- 大型二輪免許:運転できるバイクの排気量に制限がない
二輪免許の場合も、自動車と同じくマニュアル免許を持っていればオートマ車も運転することができます。
免許を取るなら、オートマ(AT)とマニュアル(MT)どちらがいい?
では、「運転免許を取りたい!」と考えた時、オートマ限定免許か、どちらも運転できるマニュアル免許か、どちらを選ぶと良いのでしょうか?ここでは、「どんな人に、どちらの免許がおすすめか」を紹介します。ぜひ、取得免許を選ぶ際の参考にしてください。
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運転を楽しみたい人は、マニュアル(MT)がおすすめ
前述の通り、マニュアル車は運転が難しい分、「車を自分で操作している」と感じやすく、運転の楽しさを見出しやすいです。そのため、趣味としてドライブを楽しみたい、スポーツカーやクラシックカーなど、いろいろな車の運転を楽しみたいという人には、オートマ車もマニュアル車もどちらも運転できるマニュアル免許がおすすめです。
車を使う仕事をするなら、マニュアル(MT)がおすすめ
業務の中で車を扱う仕事の場合は、マニュアル免許がおすすめです。トラックをはじめ、「社用車はマニュアル車を使っている」という会社もあるかもしれません。業務内容によっては、採用応募の際にマニュアル免許が必須資格となっている場合もあります。
地方など車通勤が主流の会社の場合も、自動車免許が必要な場合があります。ただし、日本ではオートマ車が主流のため、必要資格が「自動車免許(AT限定可)」となっているケースも多いです。その場合はマニュアル免許にこだわらず、オートマ限定免許でも問題ありません。
短期間で費用を抑えて免許を取得したいなら、オートマ(AT)限定がおすすめ
オートマもマニュアルも両方運転できるマニュアル免許に比べて、オートマ限定免許は短期間・低費用で免許を取得できます。 自動車教習所での技能講習時間と費用については、地域によって多少の差はありますが、マニュアル免許は34時間で28~30万円程度、オートマ限定免許は31時間で27~29万円程度です。マニュアル車は運転操作が複雑な分、講習時間が長くなり、費用も少し高いです。また、運転操作が難しい分、実技教習や試験がオートマ免許と比べ難しいと感じる人もいるでしょう。
講習時間や費用を考えると、より免許を取りやすいのはオートマ限定免許です。「なるべく早く免許が欲しい」「少しでも費用を抑えたい」「運転が難しいマニュアル免許で、試験に合格できるか不安」という人には、オートマ限定免許がおすすめです。
もし必要になったら、オートマ(AT)限定を解除できる
オートマ限定免許を取得した方の中には、後からマニュアル免許が欲しくなったという方もいます。その場合は、限定解除という方法があります。解除する方法は2つあります。
1つ目は、教習所で「限定解除教習」を受ける方法です。マニュアル車を運転するための技能講習を最低4時間以上受け、検定に合格すると「技能審査合格証明書」が発行されます。これを持って運転免許センターで手続きを行うことで、免許の切り替えができます。教習・検定にかかる費用は教習所により異なりますが、6万円程度が一般的です。
2つ目は、運転免許センターに行き、直接試験場で審査(一発試験)を受ける方法です。教習にかかる時間と費用を節約できますが、その一方で、試験の難易度が高いため、何度も再受験することになれば結果的に費用や時間がかさむことも考えられます。
1回の受験で2,850円(試験手数料・車両手数料)がかかります。試験の実施日や受験場所は各自治体により異なるため、事前に各自治体の警察署Webサイトを確認してください。
どちらの方法においても、マニュアル車の運転技能審査に合格し、免許の書き換えを行うことで、マニュアル車を運転できるようになります。
免許の取得なら、短期集中で一気に免許が取得できる合宿免許がおすすめ
オートマ免許に比べると、マニュアル免許は取得に時間がかかります。しかし、合宿免許であれば、効率的に短期間で取得することができるので、マニュアル免許であっても大幅に取得期間が延びることはありません。
「オートマ限定にして、少しでも早く免許を取りたい」という人にも、「マニュアル免許を取りたいけれど、少しでも短期間で免許を取りたい」という人にも、通学よりも短期間で免許を取得できる合宿免許はおすすめです。卒業期間は、通学の場合だいだい2~3ヶ月かかります。合宿免許は、教習所によって多少の違いはありますが、オートマ限定免許は14~18日間、マニュアル免許は16~21日間で取ることができます。
また、合宿での免許取得は費用が高いと思っている方が多いと思います。しかし、通学制の教習所の場合ですと、東京都内で平均30万円ほどです。それに対して、合宿免許は、全国各地の教習所から選択でき、約20万円程度で済むこともあります。閑散期を狙ったり、割引を活用したりすることで、安いプランを探すこともできます。
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